地域活性の秘訣はドリフにあり!? ~『地域とつながるゼミ 第一期』 第2回(2014.1.27)レポート~

神田にあるR25カフェ(MATOME CAFE + R25)で開講中の「これから職人ゼミ」。様々なジャンルの職人と共に仕事と遊びの未来を考える新しい学びの場で、去る1月20日(月)、コミュニティプロデューサーの須田泰成さんが講師を務める「地域とつながるゼミ」第1回目が開催された。

 

相手の話をしっかり聞き、相手との距離を図ることが地域に根付くポイント

 

第1回目は、経堂を舞台に展開されてきた須田さんの地域活性策のこれまでを学習。「からから亭」の経営危機を救うべく立ち上がった「経堂系ドットコム」や、東日本大震災で被害を受けた木の屋石巻水産の復興支援を、経堂という街ぐるみで行ったお話などを伺った。

 

第2回目の今回は、「地域のハブ」を見つける話からスタート。地域活性において一番大事なことは「地域のハブ」で「縁を熟成させる」こと。地域の組織や人とつながる際、様々な人や情報が集まる「ハブ」を見つけてそこに「繰り返し通うこと」が大事、という須田さん。「ハブ」というとお店などの場所を思い浮かべがちだが、定期的に開催されているバザーやお祭り、町内会なども立派な「ハブ」になる。どこに人や物、情報が集まっているのかを見つけ、そこに集まる人と縁を深めていくことが、地域の人たちに気持ち良く参加してもらえる地域活性策の第一歩である。

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どこに地域の情報が集まっているのか。地域に足しげく通うことで「ハブ」は見つかる。

 

そして「縁を熟成させる」にあたってのポイントは、「人の話をしっかり聞くこと」と「相手との距離感をきちんと図ること」。地域特有の情報を調べることも勿論大事だけれど、その前にまずは地域にいる人たちの話を聞くことが大切だ。つい勘違いして、自分のキャラクターをアピールしたほうがよいのではないかと思う人もいるかもしれないけれど、自分のことをしゃべる人より、自分の話を聞いてくれる人の方が、人は嬉しいと思うもの。また、いきなり友達のような距離感で相手の話を聞くのではなく、相手の気持ちを考えて、徐々に人間関係の距離感を縮めていくことが長きに渡る信頼関係を築くコツでもある。

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「人の話を聞く」という内容に、熱心にメモをとる参加者たち。

 

「もしも●●が××だったら」と考えると、思いもよらないアイデアが湧いてくる

 

「地域のハブで縁を熟成する」ポイントを押さえた後は、実際の「地域活性の企画作り」について学ぶことに。と、ここで突然、皆である動画をみることに。それは「ドリフ大爆笑」でお馴染みの「もしも」シリーズ! ドリフターズの人気コント「もしもシリーズ」の中の「もしもやたら威勢のいい銭湯があったら…」を鑑賞し、皆でクククと笑った後に実感したのは、地域の暮らしを面白くする発想のヒントはこの「もしも銭湯がやたら威勢がよかったら」、つまり「もしも●●が××だったら」にあるということ。

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ドリフの「もしもシリーズ」には、笑いの中に沢山のヒントが。

 

 須田さん曰く、ドリフだけでなく、どんな複雑なコメディでも、神話でも、世の中のクリエイティブと呼ばれるものほとんど全てがこのパターンで構成されているといっても過言でないとか。「経堂系ドットコム」の場合は、あまりにも小さな個人店のカウンターでお客さん同士が交流するため、もっと面白く出来ないかと思い、「もしも個人店をハブに、地域の人が交流する街があったら」をテーマにしてホームページを作り始めたという。そこに掲載された個人店は、「地域のハブ」としての意識を持つようになる為、その後、様々な形で面白いことがおきるようになったそうだ。

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「もしも…」という仮定が、柔軟な発想を生むコツだそう。

 

既に目の前にあるものを「地域資源」として面白くできないか、と考えてみる

  「もしも●●な××があったら?」 「もしも××が●●だったら?」と考えてみる際、ポイントは「××」に当てはまる地域資源を見つけるということ。空間や文化、自然風土や人など、地域には様々な資源があり、それらを「たまたま見つける」というのではなく、自ら「既にあるもの」を「資源」と捉えられるかどうかにかかってくる。

  例えば、新潟県十日町市の雪まつりは、降り積もって実は地域にとって困るものである豪雪を逆手にとり、「もしも雪を使ったお祭りがあったら?」が奏功した事例と言える。「あ、雪が降っているな」ではなく、降り積もった雪を「何か面白くできないかな」と思わないと、面白くはならない。

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既に目の前にあるものを面白がる姿勢と「もしも…」で、アイデアは湧いてくる。

 

 前回の講義で宿題だった「自分がやってみたい地域活性策」として、受講生の一人から「図書館を面白くしたい」というテーマが挙がった。そこで「もしも●●な図書館があったら?」をテーマに、参加者全員でブレストをすることに。 すると「もしもスポーツジムみたいな図書館があったら?」「ダンベル代わりに本がやたら重かったりして」などのアイデアから始まり、「寝ながら本が読める図書館があったら?」「役者さんが朗読してくれる図書館があったら?」「ニコニコ動画みたいに、本に書き込みができる図書館があったら?」などなど、面白いアイデアがどんどん湧いてきた。須田さんからは「人間は常識で生きているので、真面目にいなきゃとか、羽目を外したらダメだという意識が働きがちだけれど、モノを考える時だけ常識を壊すという癖をつけていくといいですよ」とのアドバイスが。

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まだ2回目だが、参加者の多くが既に自分の中で取り組みたい地域活性策をまとめてきていた。

 

ウォーミングアップをした後は、各自の宿題のお題について、ひとつずつ「もしも」ブレストを重ねることに。中には「もしもクローズしたカフェテリアが、子どもやお母さんが自由に使える場になったら?(お母さんたちがお道具箱を作るワークショップを開催したい)」や、「もしも仏壇通りが、むちゃくちゃ面白い街だったら(十二楽坊のような感じで、木魚をたたいて踊るとか?)」など、また「(病院を思い出に残る場所、体験できる場所にしたいので)もしも病院が癒しのアートギャラリーだったら?」というアイデアも出てきた。手書きの企画書から、写真がふんだんに使われた企画書まで、参加者十人の熱意が伝わってくる。

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各自の企画を10人でブレストすることで、「もしも」なアイデアが一気に膨らむ。

 

あっという間の90分だったが、今回は「発想法」を中心に「地域との縁の熟成方法」を学び、参加者同士の企画検討が進んだ回となった。次回の第3回目は、今までのアイデアを「自分ができるスケール」に調整していく。各自の想いが、どんどん実現化に近づいていっている。

 

<告知>

新しい「地域とつながるゼミ」は、2014年4月7日から毎週月曜日(全5回)の開催が決定しています。ご興味ある方は「これから職人ゼミ」HPをご確認ください。【了】

田口 歩

田口 歩

東京と福岡を行ったり来たりの、転勤族社宅育ち。 隣近所を知っていて、社宅の一部に中庭や共有スペースがあるのが普通だと勘違いして過ごした幼少期。 大学在学中、米国カリフォルニア州立大学での交換留学を経て、外国人ルームメイトとのシェアな暮らしに少し目覚める。 卒業後、(株)ベネッセコーポレーションでの編集業務、オルビス(株)でのマーケ、広報業務等を担当したのち、2012年12月多世代型シェアオフィス「NAGAYA AOYAMA」をオープン。 「NAGAYAの母」として、シェアオフィスの企画、コミュニティ運営を行う。 コレクティブハウスかんかん森居住者(2008年3月より)。 NPOコレクティブハウジング社団体会員。 好きなモノ:カレー、アート、演劇、ライブ、落語、アウトドア、僻地 「シェアする暮らし」について コレクティブハウスに住んで5年目。 体調を崩して寝込んだら、ドアノブにヨーグルトがかかっていたり。 ベランダにゴキちゃんが出たら、お隣の人が退治をしてくれたり。 仕事で落ち込んでいたら、小学生居住者が「バトミントンしよう!」と誘ってくれたり。 近所の男友達が、貸したデジカメを夜中にポストに返しにきてくれたら、「変な男の人が田口さんのポストを触ってた!」とメールで通報があったり。 自分一人で何でもできることが良いことだと思っていたし、人に迷惑をかけないことが良いことだとも思っていました。 でも、自分一人では出来ないことや自分の弱いところを、「出来ないんだ」「苦手なんだ」と他人とシェアできることで、自分一人で自分を抱え込まなくてよいこと、そして他人が自分のことを、自分と同じように大事にしてくれることをこの暮らしで知った気がします。 そして、自分にとっては普通のことが、相手の思わぬお役に立って思わぬ喜びを感じたり。 社会って、凸と凹で出来ていて、そんな凸と凹のお持ち寄りが「シェア」なのかもしれないなと思う今日この頃です。 参加プロジェクト コレクティブハウスかんかん森 私とシェア 2013 「勝手に人をプロデュース」 リンク Facebook Twitter

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